The following are extra stories included on the CD-ROM of Langrisser III for the Sega Saturn.
The Diary of Diehärte Klaus[]
"The Diary of Diehärte Klaus" (ディハルト・クラウスの日記) It provides extra information about what the protagonist is thinking throughout the early part of the story.
Entry 1
Finally, tomorrow is my knighting ceremony. I won't have to deal with Duke William's scolding or Sir Geriord's hazings anymore!
These last six years have gone well, if I do say so myself. But having to spend the entire night in front of the underground altar...? That's so boring.
Entry 2
I've arrived in Laffel.
Somehow, the Empire knocked down our floating castle. On top of that, Lord William was murdered and Sir Geriord is in critical condition. The womenfolk are all flustered and I am exhausted. Geriord is a lot heavier than he looks.
At any rate, I'll consider it a win that I'm at least alive.
Speaking of which, I wonder how my parents are doing at the royal capital of Larcussia. In the end, they never wound up coming to my knighting ceremony. Maybe they were unable to shirk their duties as diplomats and leave the city?
Either way, surely they hadn't forgotten about their son's big moment, right?
Entry 3
Just what is going on? Even our ally Barral is attacking us! I can't believe it.
And there was something different about the King of Barral... I remember him as a kind man who gave us plenty of sweets. And Princess Flaire was pretty cute. It's really sad that we're on hostile terms now.
Anyway, we've gotta go see my uncle, Viscount Raymond, before we run out of supplies.
Entry 4
We finally made it to Viscount Raymond's house.
It's been a while since I've been able to sleep in a real bed. It's a big relief that I don't have to be responsible for protecting the women anymore.
I feel like I'm going to have a wonderful dream tonight.
Entry 5
Using Viscount Raymond's servants, we were able to hire some soldiers.
Now that people have learned about my lineage I'm unable to go outside. With nothing else I could do, I've decided to work on my sword training out in the garden.
As soon as I began to swing my sword, Tiaris came and started reading a book of magic spells near me. It seems she's finally starting to recover from the shock of William's death.
Entry 6
I had my first sword fight with Lewin. He's brazen, but also highly skilled. And that's without any real combat experience. I'm sure he will become an incredible fighter one day.
I didn't lose, but I'm definitely covered in bruises.
Entry 7
The heavy downpour that started last night kept me indoors. I didn't get to do any sword practice today.
For the first time in a while, I poked fun at Tiaris. When I did, I caught Lewin glaring at me. I wonder if he likes her?
I think I'll poke fun at him next time.
Entry 8
Damn that Tiaris! Even as a joke, there is just something wrong with what she did! I can't believe she would use me as a target for her magic training.
Thankfully, she hasn't mastered that spell yet. But now I've got burns all down my back.
I should probably go lay down and rest for a while...
Entry 9
The royal soldiers have gathered and now it's time to discuss our strategy.
Lord Raymond has made me the commander of an independent group. Everyone acted surprised, but of course he would put me in charge. Tiaris is out of the question and Lewin doesn't even have the proper title of knight yet.
Oops... I guess I am a bit too excited about this.
I gotta get up early tomorrow so I should head to bed.
Entry 10
I haven't had time to write in my diary for a while. Right now, we're headed to the estate of Baron Torrand.
Traveling under the name of Viscount Raymond, we explained our situation to this blademaster by the name of Gilbert in the Village of Ransh. He joined up with us, but I have to say he's a bit of a gloomy old guy. I'm not sure whether he'll really be okay with listening to the orders of someone so much younger than him. Will he be aggressive? Is he plotting something?
After that, Pierre and Riffany joined up with us as well.
I wish we could've left Pierre behind and just brought that noble lady Riffany. She's a magic user and exceedingly beautiful. Riffany has a beauty mark under her left eye. I wonder if she gets all teary-eyed when she drinks?
Heck, even the Baron's daughter Luna is worth checking out.
Entry 11
Today we made it to the estate of Baron Torrand. Luna joined up with us since the baron is ill. Yahoo!
Man, I've been training and studying so long that I haven't had many opportunities to be with a woman. I'm so glad I managed to stay alive this long...
— Translated by DarknessSavior 2014/07/10 11:42
Luna - A Break in the Forest[]
木漏れ陽の森で
いつも、終わってから後悔してしまう。
売り言葉に、買い言葉—-。
本当、自分という人間が嫌になってしまう。
そんなやりきれない心をかかえ、私は一人、まだ暗い明けの空を見上げる。
空にはまるで自分の分身のような、刃物のような薄い月が冷たい光りを放っている。
彼が他の女性たちに優しくするのを見ては、嫉妬を覚える。
そのくせ、いざ自分が優しくされると、彼を軽蔑して冷たい態度に出てしまう。
そんな正直になれない自分が、私は、嫌い—-。
どうして素直になれないのだろう?
天才軍師と世にうたわれるわが父、トーランド。そしてその父に子供の頃から剣術や兵法の基礎、策略までを教え込まれた。幼くして病死した兄に代わって、私は男として育てられたのだ。
そんな私は別動隊の副官という立場上、常に彼の側にいられる。
つまり他の女性よりは、彼に頼られる機会が多い。
彼の力になるに、私は喜びを覚える。だがそれと同じくらいに自分を頼りにする彼を嫌ってしまう。
やはり、自分は「あまのじゃく」なのだ。
昇ってきた朝陽に、消えかけた月を見上げながらぼんやりと考える。月は何も返してくれない。
月—-ルナ。
月は”狂気”の象徴だと、聞いたことがある。
ならば、その名を頂く私も、”狂気”の申し子なのだろうか?
男として育てられた自分と、本来の女としての自分が互いに自己主張をしている。
これが私、ルナの正体。
「‥‥ルナ‥‥」
聞き慣れた声に、私は反射的に振り返った。そこには全てを包み込む優しさと、人をひきつける力強さ、そして人としての悲しみを同時にたたえた瞳のあの人が、まっすぐに私を見つめてい
た。
「こんな森の奥まできていたなんて‥‥捜したよ」
高くなった太陽が、やさしい木漏れ陽を落としてくれる。その光りのシャワーの中を彼が近づいてくる。
—-私を捜してくれた?一晩も?ならば、嬉しい。
(何をうぬぼれているの。彼にとって私はただの仲間。)
—-男なんて、女の涙に弱いものよ。さあ、彼を手懐けるなら今よ。
(いいえ、彼は優しい。いつもみんなの事を気にかけてくれている。)
—-私を見て。もっと見つめて、私だけを。
(いや、見ないで!私はあなたが思っているほど出来た女じゃないの!)
頭の中に、自分の声がする。
心が悲鳴を上げている。
「‥‥すまなかった。今は俺一人より、この国の人々のことを優先するべきだったよ」
「いいえ、私もきつく言い過ぎたと思います。申し訳ありません」
「これからも、正しいと思ったことは迷わず言ってくれ」
「ディハルト様‥‥」
「俺は弱い人間なんだ。自分のしていることが正しいのか、不安になるときがある」
(それは私も同じです—-)
だが口にする事は出来ない。弱い自分を見せたくない、という自分がその言葉を黙らせる。
「だから、これからも力をかしてくれ」
「‥‥はい」
彼の瞳は私の心を見すかしてしまいそうで、私は慌てて目を反らした。少し心臓が早くなっている。顔も少し熱い。
こんなの、私らしくない。
「そろそろ、戻りましょう」
私はそれを気づかせないように先に立って歩き始めた。だが注意力がなくなっていたため、地面の石に足を取られてしまった。
「きゃっ」
「おっと!」
彼は私の手を取り抱きとめてくれた。彼のたくましい腕が私を包み、私は彼の胸に顔を埋める。
「大丈夫だったかい?」
「‥‥はい」
「よかった‥‥」
「‥‥あ、あの‥‥」
「‥ん?」
息さえ感じられるほどの距離で彼と目をあわせたとき、無意識に言葉がでかかっていた。
「わ、私‥‥」
自分は何を言おうとしているのだろう。
いいえ、続く言葉はわかっている。
—-あなたが好きです。
「大丈夫です、一人で歩けます‥‥」
「いいや。わが軍の軍師にもしものことがあったら大変だ。この手は離さないよ」
意地悪そうにそう言いながら彼は私の手を取ったまま歩き始める。
「そんな、本当に大丈夫です!」
「ダメ、ダメ!向こうに着くまでは離してあげないよ」
彼は笑う。楽しそうに笑う。
その笑い声に、私は彼の手を握る力を少しだけ強くした。
彼の大きな手。私の小さな手。彼の温かさが伝わって、心地よい。
—-いいよね?少しくらい素直になったって。
—-誰も私らしくないって、笑わないよね?
—-もし笑われたって、それが彼なら耐えられるよね。
Tiaris - Maiden of the Spring Breeze[]
春風少女
ねぇ、ねぇ、このあたりで赤いリボンを見なかった?
そう。こっちとおそろいのリボン。
結び直そうかな、って思ったら、風に飛ばされちゃって。
そんなに見ないでよ!
左側がバラバラだから、みっともないんだ。
お願い、一緒にさがしてくれる?
ほんと?
やったぁっ!
まだ名前言ってなかったね。
あたし、ティアリス。ティアって呼んでいいよ。
ティアね、今この国を取り戻すために戦ってるんだよ。
ティアのパパはね、浮遊城の城主をしてたんだけど、
あなたも知ってるよね、帝国軍に浮遊城を落とされたの。
その時にね‥‥死んじゃった‥‥。
でも、ティア平気だよ!
もう、泣かない。
だって、あたしが泣くと、ルイン君やディハルトが、困るんだモン‥‥。
えっ?
ルイン君は弟みたいな、お兄ちゃんみたいな人。
ディハルトはお兄ちゃんみたいな、パパみたいな人。
えぇ~!?
う~ん、大好きだよ‥‥二人とも。
でもね、ティア、リファニーさんも、ルナさんも、みんな好きだから。
あなたも優しいから好きだよ。
だって、ティアに付き合って、リボン捜してくれてるじゃない。
ティアね、優しい人が、だ~い好きなんだ!
あなたもそう思うでしょ?
ね? あはっ!
‥‥それにしてもどこまで飛ばされちゃったんだろう?
え、なに、なに?
ああ~っ!あれだよ、ティアのリボン!
あんな高いとこにあったんじゃ、ティア見つけれれないよ。
ね、肩車して!
いいじゃない、なに恥ずかしがってるのよ!
ほら、早く!
あはっ、取れた、取れた!
どうも、ありがとうね。ティア、とっても、感謝!
それじゃ、そろそろ戻らないと、みんなが心配するから。
ほんとうに、ありがとうね。
それじゃ、また会えるといいね!
バイ、バ~イ!
Freya - Reminiscence[]
回想
夢、を見た。
そこは見慣れた庭園で、幼い女の子が一人、花を摘んでは丹念に編み上げている。
少し長くなると輪を作って、その輪の大きさを確かめてみたり。
穏やかな春の陽射しが、輪を通して少女の顔を明るく照らす。少女が首をかしげるたびに長い巻毛が揺れる。
そんな事を、朝からもう何度繰り返しただろう。輪は王冠より大きくなり、首がすっぽり入るほどになっていた。
少女は満足そうな笑みを浮かべると、最後の仕上げにとりかかる。その頬はほんのりと桜に色づいているみたい。
「姫様、姫様?」
乳母の呼ぶ声に、少女は息を飲んで振り返る。
「まぁ、ここにいらしたのですか」
「うん。これを作っていたの」
姫と呼ばれた少女は、答ながら出来上がったばかりの花輪を乳母にみせる。どこか自慢気。
「これはこれは、綺麗なレイですこと。それよりも、いらっしゃいましたよ。そのレイのもらい手が」
小さなお姫様はこれまでにない笑顔で顔を輝かせ、走り出す。
「姫様、お待ち下さい!」
後ろで乳母の声が聞こえるけれど、少女の足は止まらない。一秒でも早く城に戻りたかった。
そして一秒でも早く、冬の間待ちわびた、彼に会いたかったから。
少女の名は、フレア。
そう。6年前の、幼き日の、私——。
城に戻ると、息を弾ませて謁見の間へ駆け込む。
そこに彼が待っている。
胸の鼓動は、彼の姿を見つけただけでひときわ高くなる。
私は彼に駆け寄ると、勢いあまって彼に飛びつく。そして私を受けとめた彼は優しく、それでいて、どこか悪戯っこの様な、輝く瞳をしている。
「お久しぶりです、フレア姫」
彼はそう言ってうやうやしく頭を下げた。私はというと、呼吸が乱れ、返事が出来ないでいた。その代わりに作ったばかりのレイを、彼の首にかけてあげる。
「おやおや、姫様自らの贈り物だ。ディハルトも隅におけないな」
父との挨拶が済んだクラウス伯が息子であるディハルトの頭に手を置いて言う。
「お前もフレア姫に渡す物があったんじゃないのかな?」
「もう、父さんは!それを先に言っちゃダメじゃないか!」
ディハルトはちょっとすねた様にしながら、懐に手を入れ、それを取り出した。
「はい。ずっと前に話したよね、七色に光る貝のこと」
私は息を整えながらその巻貝を受け取った。
まるで金属のような光沢を持ちながら、それは輝いていた。その渦は裏表のどちらにも片寄らず、綺麗に中心へと巻かれている。なんて綺麗な貝なのかしら。
「これが虹色貝だよ」
去年の秋の頃、ディハルトは私に話してくれたことがあった。
『ラーカスの西側の浜辺には綺麗な巻貝があるんだ。その外側は七色に光るんだ‥‥』
私はそれを聞いて、見てみたくなった。
お父様に話したけど、バーラルの海は崖ばかりで、大きな浜辺がないから見れないと言われたっけ。
「あのとき、フレアがすごく残念そうにしてたから、お土産にと思ってさ‥‥」
そう言って、ディハルトは照れくさそうに笑った。
そんな彼の笑みが私を温かくしてくれる‥‥。
私が彼と初めて会ったのはもう12年前。私が4つの頃だ。
彼の父はラーカス王国の外交官で、我がバーラル王国に同盟を取付に来たのだ。
昔はバーラルも豊かなラーカスを狙って戦争をしかけたこともあったらしい。
だが父の代になると、それもなくなった。父が戦に向かなかったこと、そしてクラウス伯の人柄。こうして両国は同盟を結び、バーラルもラーカスの恩恵を受けることとなった。同時にクラウ
ス家との家族ぐるみの交際もはじまった。
だが私にとってはあまり大事ではなかった。私にとって重要なのは、クラウス伯の一人息子、ディハルトとの出会いだけだったのだから。
——喧嘩をしたこともある。
——泣かされたことだってある。
だけど、そんな出来事の一つ一つが、私と彼との距離を縮めていったのは事実。
立場上、城から出ることをあまり許されなかったせいもあるかもしれない。
けれども、私は彼に、ディハルト・クラウスという少年に惹かれていった。
たとえ私の独りよがりの恋だとしても‥‥。
恋が愛に変わったのは、9つのあの時。
虹色貝を貰ってから数日後のことだった。
「ディハルトよ。お前がどう思っているのか、正直に聞かせてはくれまいか?」
「王様‥‥。」
彼とお父様が話しているところを偶然立ち聞きしてしまった。
行儀の悪い娘だと言わないで欲しい。これが他の人だったら、私はきっと立ち去っていたと思う。けれど、相手がディハルトだったから‥‥。
彼のことは何でも知りたかった。知れば知るだけ、彼に近づけるような気がしていたから。
「お前はフレアをどう思っているのだ?」
私は息が止まってしまうかと思った。恐いけど、それがいちばん知りたかったこと。
「僕は‥‥フレア姫が大好きです」
例えようもない感動が、私の内からわき起こる。
ああ、この一言のために、私は生まれてきたのよ。
あなたに愛されるために——。
「ラーカスへ戻るたびに、ここへ来る日を楽しみにしています。けれど、今は言えません」
「ほほぅ。それはどうしてかな?」
「今の僕には、その資格がないからです」
「だが、フレアの方はどうかな?あいつはお前のことが心底好きらしいぞ」
そう言ってお父様は笑った。
何を言いだすの、お父様!ディハルトが困った顔をしているじゃない!
「なぁ、フレア?」
不意に名を呼ばれ、私は驚いた。どうやらお父様は私がここにいることを気づいていたらしい。
どうしようか、少し迷い、私は言葉もなく、二人の方へ歩み寄って行った。でも顔が熱くて、ディハルトのことを見られなかった。
それは彼も同じ。ちらりと見たその顔は、真っ赤に染まっていて、私と目があうと慌ててそらすのだ。
こんなとき、どうすればいいのだろう?
何を言ったらいいのだろう?
幼かった私には考えもつかなかった。
恥ずかしくて、気まずかった。
だけど、彼の方から声をかけてくれたので、私は救われた。
「あの‥‥フレア‥‥。ちょっと、外へ出ないか‥‥」
「‥‥うん」
外の涼風にさらされても、まだ顔の火照りは冷めない。
私は柄にもなくうつむきながら、彼の背中だけを見て付いて行った。
そして中庭の噴水の前まできたとき、ディハルトは歩みを止めて、私に言った。
「ずっと、言わなきゃって思ってたんだけど、なんだか、言い出せなくて‥‥」
「‥‥うん」
「もうすぐ僕はラーカスへ帰らなきゃならないことは知ってるよね?」
「‥‥うん。‥‥でも、夏にはまた逢えるんでしょ?」
「‥‥‥。それが、ダメなんだ」
「えっ?」
私は自分の耳を疑った。
「今、なんて‥‥」
「騎士になるんだ。そのための修業をするために、親元を離れてウィリアム公爵の所へ行かなければならないんだ」
「それじゃ‥‥」
「うん。どんなに早くても、5年以上かかる。それまで逢えなくなる‥‥」
そこでディハルトの顔が曇るのがわかった。
「嘘でしょ?ねぇ、嘘よね?」
「‥‥ごめんよ。騎士になるのは、ずっと前からの夢だったんだ‥‥」
気がつくと私はお父様にしがみついて泣いていた。
本当はディハルトにすがって泣きたかった。
だけど、それでは彼を困らせてしまう。そして彼はそんな私を嫌いになってしまうかも知れない。
子供ながらに、精いっぱい考え、耐えて、私は城に戻ってきたのだ。
「なぁ、フレア。これは悲しむべきことじゃない。ディハルトが立派な騎士になれるように、応援してあげるべきじゃないかな?」
「‥あたしも‥‥あたしも‥騎士になる‥‥そうすれば、一緒にいられるでしょ‥‥?」
「これこれ、無理を言うんじゃない。それに彼は言ったじゃないか。まだ、資格がないと」
「‥‥資格‥?」
「そうだ。ディハルトはね、お前にふさわしい男になろうと思っているんだよ。厳しいの修業を終えて、正騎士になれば、お前にふさわしい男になれるからな」
「それじゃ、ディハルトは‥‥」
「お前のことを思っているからこそ、騎士になるんだよ。だからお前は、この次ディハルトに会うときまでに、彼にふさわしい女性にならなくてはな‥‥」
「‥‥はい」
お父様は優しく諭してくれた。
夢からさめても、私はまだ起きあがることが出来ないでいた。
まるで心の中に大きな穴があいてしまったよう。
昨日一日でいろんな事がありすぎて、精神的にまいっていたみたい。
それとも、夢のせいだろうか‥‥?
外は雨のようだ。鎧戸を叩く雨音が聞こえてくる。
何気なく頬に手を当てたとき、自分が夢を見ながら泣いていたことに気づいた。
—-いけない。
今の私はバーラル軍をあずかる将の一人なのだ。私の態度一つが兵達に動揺を与えてしまう。
それでなくても昨日は、ライリムの街を奪われたのだから。
私は涙を拭って無理に起きあがると、鎧を身につけ、髪に櫛を当てた。
子供の頃、腰まであった髪は、今では肩にも届かない。ディハルトがバーラルを去った次の日に切ってから、短いまま‥‥。
「あの頃のフレアは、もういない‥‥。今の私は、彼の‥‥敵‥‥」
自分でそう言ってから、目頭が熱くなるのを感じる。
「ダメ‥‥泣いちゃ‥ダメ‥‥」
でも、一度高ぶった感情だけは押さえることは出来ない。涙は、後から、後から、私の頬をつたい落ちる。
お父様が狂ってしまったあの日、こうなることを覚悟していたはずなのに。
私の中には、今だ忘れられぬディハルトへの想いだけが大きくなっていった。
あのときダークナイトが助けに来なければ‥‥。
あのまま捕虜としてでもディハルトに捕らえられていたら‥‥。
‥‥これほどの切なさに苦しむこともなかったかも知れない。
それでも、私は、お父様を、裏切れない—-。
「お父様‥‥どうして、戦争などしかけてしまったの‥‥」
今の私には、ただ、声を殺して泣くことしか出来なかった‥‥。
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